おはこんばんにちは。漫画家、MANGAブランディングプロデューサーのすがのです。
前編、「タダで描いてよ」問題その①に、思いのほかたくさんのコメントをお寄せいただきありがとうございました!(facebookにシェアしたところ、たくさんコメントをいただきました(_ _*)))
漫画、イラスト業界だけではなく、アクセサリー業界やファッション業界といったクリエイティブな業界、そのほか、士業の先生方も、本質的に同じような悩みをお持ちというご意見をいただきました。
みなさん、目に見えない部分の労力を値切られたり、「チャチャっと描けるでしょ?」と言われたり、無償でできませんと断ると怒りを買ったり…。同じような体験をされた方が、業界を越えてたくさんいらっしゃることがわかりました。
その②では、わたしが実際にプロモーション業、ブランディング業で活動してきた中で、個人的に気付いたこと、実行した改善策について綴らせていただきます。
改善策は?
1「自分の価値を見つめ、しっかりと交渉すること」
わたしは以前、自分自身にどんな価値があるのか、あまり考えたことがありませんでした。ただただ好きで漫画の仕事に携わってきたこと。原稿料は上がらなくてもいいから、好きな仕事が出来ているだけでありがたい。いい人でありたい、断るのは申し訳ない…とずっと思っていました。そして、それがずっと現実化していました。
いつしか、それがエスカレートし
「へぇ~、漫画が描けるんだ、だったらタダで描いてよ」
「うちでタダでやっておけば、名前が売れて、もしかしたら次に紹介が出るかもしれないよ」
「安くやってくれたら紹介を出すよ」
「もっと安くしてくれない?」
ということが起こり続けました。
わたしは、自分の意識と自己肯定感が低かったことに原因があると考え、改めて自分はどれくらい漫画に情熱と時間を費やし、どんな想いでやってきたかじっくりと向き合い、そして自分を大切にするために自分を安売りしないこと、価格一覧表を作り、絵を描かれない方に絵を描く工程やかかる時間、意思疎通できない不明な点はきちんと明確にし、交渉することを決意しました。
そのおかげか、最近では「タダでやってよ」という方も「値切ってくる方」も現れなくなってきました。
2「言いなりにならない」
自分が経験してきたことで、確信を持って伝えられることは、プロとして自信を持ってクライアントさんに伝えること。
クライアントさんの目的が何かをしっかりと共有し、ご要望もクリアしていく中で、あまりにもゴールからかけ離れそうと判断できた時は、しっかりと歩み寄りの対話をする事。
わたしは断ることができない「イエスマン」だったので「次に紹介が出るかもしれないから、この値段で」と値切られ、頭が真っ白になり(フリーズしてしまいました;▽;)一旦話を持ち帰ったり、交渉することができず、後から何でこの仕事を請けてしまったんだろう…と自己嫌悪に陥ることもよくありました。今思うと、全くもって、自業自得です。
「できません」「難しいです」と断る勇気、とても大事です。
3「5年・10年先はどうなっていたいかのビジョンを明確に」
連載が重なり、締切に追われていたころは、どうしても目の前の事にしか集中できず、ひとつ〆切が終ったら、インプットの時間を取らず、間髪いれずに次の仕事へ取り掛かる。なんてことを繰り返していました。
気がつけばすっかり自転車操業になっていて、アウトプットの日々が続き、身体と心は休まらず、このままいつまでこの仕事が続けられるかな、と、途方にくれたことがありました。
今は、何故途方に暮れてしまっていたのかがわかりました。
5年、10年、20年先のビジョンが全く見えていなかった、考えようとしていなかったからでした。
現在では、「時間が無い」のではなく「意識して自ら時間を作ること」
連載執筆業とMANGAブランディング事業を並行させ、何でもかんでも仕事を請けてしまうのではなく、無理をせずにしっかりセルフマネージメントをし、コントロールすることを意識するようになりました。
4「継続は力なり・コツコツと」
何事も、ちょっとやってみて、すぐに結果が出れば万々歳ですが、なかなかそうもいきません。トライアンドエラーで、やり方を変えてみるのも良いことかもしれません。
でも、ここで忘れてはいけないのは「変えられない、確固たる想い」だとわたしは考えます。
誰に評価されなくても、すぐに結果が出なくても、やめたほうがいいんじゃないの?と言われても「やり続けたいこと」が最強の強みになります。
誰かに言われて、やめられることは、本当にやりたことではないかもしれません。
5「仕事を待たない。自分から行動する」
ゆるやかに出版業界の変化が起き始めたのは、すでに10年前くらいからでしょうか。様々な雑誌が次々と休刊になり、現在では紙媒体と電子媒体の割合が逆転するという現象が起きています。
雑誌が無くなれば、他の雑誌や電子媒体に移籍できなかった漫画家さんは急に仕事を失ってしまうことになります。
「仕事をください」「仕事を募集しています」と掲げて待っていても、出版社や編集部の目にとまれば良いのですが、どのくらい復職できるのでしょうか?実際に、執筆先が無く、困っている作家さんのお話を聞く機会も少なくありません。
執筆を続けたければ、待たずに自分で持込に行く事。目にとまる方法を考えること。または、次の項目に続きますが、今までとは仕事の仕方を変える事が必要になってきます。
6.「付加価値を考える」
漫画家という仕事は、実は様々なことを複合させた総合技術だと感じています。
・0から1を作り上げる能力
・企画書の作成
・決められた範囲内で情報を納める能力
・シナリオライティング
・ストーリーテリング
・絵コンテ(ネーム)構成力
・カット・カメラ割り
・描画
この他にも、まだまだ要素はあるかもしれません。
漫画に限らず、イラストレーターさんも0から1を作り出す能力は、これからAI化していく世の中では、AIには出来ない特化した分野として強みとなっていくと思います。
可能性は必ずしも漫画、イラスト一択ではなく、そこにその人ならではの「生き様」に付随する付加価値が付けられる、とわたしは感じています。
まとめ
以上、改善策と気付きを6つ上げてみましたが、何かひとつでもご参考になることがありましたら、とても嬉しいです。
わたし自身まだまだ模索中で、想定外の事がおきたりすると、とっさに判断がつかない時も失敗も多々あります。これは経験を積んで一つ一つクリアして今後の課題として真摯に取り組んでいきます。
これまでの失敗や経験談をお伝えしていく事が、これからご活躍される漫画家さん、イラストレーターさん、クリエイティブに関わる方々のお役に立てることを願って、これからも発信し続けていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました!
今日も素敵でクリエイティブな一日をお過ごしくださいませ^^